最近、俳優の大杉漣さんが亡くなった、というニュースをみた。
特にファンというわけではなかったけれども、よくTVや映画で見ていた俳優さんであったので、心にグッとくるものがあった。
そこで、ふと、人間のもつ人生の意味とはなんだ? と考えた。
我々は、心の何処かに、強迫観念をかかえている。幸福であらねばならない。人より優れていなければならない。何か誇れるものがなくてはならない。人生において、何かを成し遂げなければならない。
そうでなければ、人生に意味がない。生きていても意味がない、と。
この思考は、我々を苦しめる。何者かにならねばならない。何者かにならねばならない。呪詛のように、それは我々を苦しめさいなめる。
だが、しかし、客観的に考えれば、人生など、端的にいえば、生きて死ぬだけの話だ。
犬や猫、植物なんかを見ていれば、わかる。彼らは、いちいち生とは何ぞや? などと考えることはない。ただ、産まれ、生きて、死んで行くだけだ。未来に対し絶望することもない、場当たり的に、主観の連続性を生きているだけだ。そして、最後の時を迎える。
そして、それこそが、結局、人生なのだ。
わざわざ、なにか意味を問うものでもない。
何かを成し遂げる必要性など、別にないのだ。
そう分かっていても、我々は、自意識に苛まれるけれど、人生に意味など別にない、何かを成し遂げる必要性はない、と心の片隅においておけば、少しは楽に生きられるのではなかろうか?■