The Catcher in the Rye

日記です。毎週、日曜日更新の予定です。無断転載、無断引用、オーケーです。

「あとは死ぬだけ」の感想

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最近、買い物依存症等のエッセイで有名な中村うさぎ氏の新刊エッセイ

「あとは死ぬだけ」を読んだ。

彼女の人生や思想が書かれており

彼女の魂の叫びという感じで、気合の入った本だった。

 

あとは死ぬだけ

あとは死ぬだけ

 

 

その中で「売春は堕落なのか」というエッセイがあり興味深かった。

 

世間一般では売春は恥ずべき仕事とされているが

彼女は、

売春は誰かを傷つける職業でもあるまいし、

なんら恥ずかしい仕事ではないという。

 

そして、むしろ色恋で人を欺くキャバクラ嬢等の方が

よっぽど下品な仕事だと書く。

 

その上で、なぜこれほどまで世間で売春婦が忌み嫌われるか?

それは男性がもつ女性の性的魅力に対する恐怖が

そうさせるとする。

 

つまり女性の性的魅力は男性に対して圧倒的なまでのパワーを持ち

ゆえに、そのパワーを武器とて平然と行使する売春婦に対し

男は本能的な恐怖を感じ迫害することで、その力を押さえつけようと

するのだと中村氏は分析する。

 

なるほど、筋の通った意見だと思う。

だって、売春が悪だ、と言われても、何が悪いかさっぱり分からない。

 

もちろん本人の意に反して身体を売ることを強いられているならば

当然、この限りではないが

本人が自発的にやっているのならば問題なかろう、

と私も思う。

 

歯医者が虫歯の治療のサービスを提供したり、

漫画家が面白い漫画を書いて読書に提供したりするのと、

なんら変わらないと思うのだ。

 

だが、この売春論を読んでいて、私は最近したある体験を思い出した。

 

          ★

 

その日、私は喫茶店でコーヒーを飲んでいた。

 

そこに若い女性と中年の男性が入ってきて

私のうしろの席に座った。

 二人の会話が聞こえてくる。

どうやら風俗店の面接をしているようであった。

 

会話が聞こえてくる。

 

彼女は大学を出て新卒の就職に失敗し、

フリーターをしているということ、月の給与が10万円ほどで、

家賃を払い光熱費を払うと、食費が出ないということ。

このままでは空腹で死んでしまうということ。

 

そういう話を彼女はしていた。男は、ふんふんと相槌を打つ。

わかりますよ、というように。

 

彼女は言葉を呪詛のように吐き出す。

「こういう仕事はしたくないけど、仕方ない、

そうしないと、生きていけない」

男は「仕方がない。だから、何ら問題ない」と彼女の意見を肯定する。

 

彼女は、もう、ほとんど涙声でいった。「わたしは、結婚できるのだろうか」

 

     ★

 

売春が悪だと私は思わない。

ただ、

多くの場合、貧困が売春の背後にある、とは思うのだ。

 

まあ、中村氏が論じていたのは、

なぜ売春が悪か? であり、

貧困と売春の関係性ではないけれども。

 

何にせよ、人がなぜ

売春を悪と感じるのか、興味深いテーマではあるまいか?⬛︎